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カラーとデザインからファッションまで、ちょっとした気づき

メンズファッションの色使いについて その3 差し色とは何か

服の話になると、差し色という言葉がよく登場します。
雑誌やサイトで「差し色が効果的で~」といった表現の仕方を目にすることが少なからずありますね。どうやら差し色が使えればオシャレになれるみたいだけど、差し色とはどういう色のことを言うの? という疑問をお持ちの人もいるでしょう。
今回は差し色について語ってみたいと思います。

 

差し色はアクセントカラー

差し色はアクセントカラーとも呼ばれます。アクセントは、強調という意味と、相対的な高低あるいは強弱という意味で使われる言葉です。ファッションやインテリアでアクセントカラーというときには、ベースとなる色合いとの対比で全体を引き締めたり、メリハリのついた印象を与えるために使う色を指しています。

 

コーディネートで同じような色合い、またベーシックカラー同士の組み合わせをすると、統一感や落ち着いた印象を纏えますが、単調でぼやけたイメージと見られることもあります。このときに、対照的な色を差し色として用いると、色合いに強弱が生じて印象に変化が生じます。この変化が意外性を感じさせたり、ハッと人目を引き付けるといった効果となり、オシャレな着こなしと見せる事になるのです。

  

差し色は、ベーシックな色の中に赤や黄色の鮮やかな色を入れる場合だけではありません。黒やダークネイビーといった濃い色のコーデに白を差すこともあります。また、ファッションではあまり使われないでしょうが、インテリアなどでは白でまとめられた家具の中に黒のテーブルを差し色として配置する使い方があります。要は明度差を利用して、色のメリハリをつけることだと思ってもらえればよいでしょう。

 

差し色の使い方

では次に、差し色をどのように使うのかについてみていきましょう。
差し色はアクセントカラーだということは前に書きました。色の使い方の基本的な考え方に、ベース・アソート・アクセントというものがあります。

 ベースカラー ・・・・・ メインの色で、全体の7割ぐらい
 アソートカラー ・・・・ ベースカラーの補色となる色で、全体の2~3割ぐらい
 アクセントカラー ・・・ 全体を引き締め、目を引く効果となる色で、全体の1割ぐらい

アクセントカラーは全体の1割ほどの使用が適切ということですね。ということで、差し色はコーディネートの中で小さな面積で使います。

 

例えば、
 襟元から中に着たシャツの色を覗かせる
 アウターの中にもう一枚重ねて着ておいてチラッと見えるようにする
 明るい色のスニーカーを履く。バッグの色を差し色にする。帽子の色を使う。アクセサリーの色で差す。
 明るい色の靴下を履いておき、ボトムスの裾からチラッと覗かせる
といった使い方ですね。

 

差し色を解説しているサイトの中には、アウターやボトムスの色を明るいものにして「差し色です」とやっているところも数多いです。しかし、それは服装自体の色合いを変えているだけであり、何かを強調することもありません。そのような広い面積でならば、メインの色となってきます。差し色の効果とは何かをよく考えて、取り入れるようにしてもらえたらよいと思います。

 

差し色の例 

その1

 もっといい写真があればよかったのですが、説明しやすいものがこれしかなかったもので。とりあえずシューズの赤は無視してください。黒のシューズを履いたと思って見てもらえたらいいです。

 

この場合の差し色はパーカの青ですね。 上に黒のアウターを着ているから差し色として成立しています。プリントTシャツを着ているとはいえ、全体に黒ベースです。これに青を差しています。

 

この写真では、フード部分、内側から除く部分、裾から除く部分、袖から覗く部分と、やや面積が大きくなっています。パーカの代わりにフードのないアイテムを用いて、ジャケットの前を開けた時に内側から青が除くのみにしても、本来の差し色に近い使い方になるでしょう。

 

 その2

 差し色の例としてよく出てくるパターンです。完全に間違いではないかもしれませんが、本来の差し色という意味では少し違ってきます。上の写真と比較してもらえたらわかりますが、インナーにドカンと色を持ってきても差したことになりません。

 

この黄色のセーターを前開きのものにして、上の写真のパーカのように見せるなら、差し色としての効果が出てきます。その際は中のシャツを白にするなどして、ベースをシンプルにしてあげる方がよいでしょう。

 

逆にこのセーターを黒かネイビーにして、ピンクのシャツとポケットチーフを差し色とするコーデでもよいですね。

      

その3

今度は差し色の例としてはよくないものをあげておきましょう。この写真のどれが差し色とされているかわかりますか?

 

コートのカーキ色を差し色だと説明しているのです。しかし、アウター丸ごと差し色になるはずがありません。また、ベーシックな色合い同士なので、面積が小さくてもどれほどの効果となるか疑問です。

 

もちろんこのコーデ自体は何等おかしくはないオシャレなものです。ただ、差し色の見本としては適当でないということです。

 

その4

 靴下による差し色の参考例です。落ち着いた色合いの服装に、明るい色の靴下がアクセントになっていますね。差し色というのは、まさにこういう事なのです。

 

「何か地味っぽいわ~」と思った次の瞬間、明るい靴下が目に入ります。すると「意外とやるやん ♡」てな具合に、グッと好印象を持つというわけです。

 

ただ、少し気がかりなのはストールです。若干靴下の色に近い系統の色合いです。これがもう少し明るいと、靴下のアクセント効果も弱まってしまい、差し色の見本には適さないものになっていたでしょう。

もちろんストールの色の話は、差し色効果になるかならないかという視点での話であり、このコーデ自体のいい悪いとはまた別の話です。

 

 差し色は無理に取り入れなくて良い

さて、差し色の効果がどのようなものかなんとなくわかってきました。服装にメリハリをつけるといった効果があるということも。それではこの差し色、必ず用いなければいけないものでしょうか。差し色がないとオシャレにならない、格好もつかないというのでは、なんだか不安な気にもなりますね。

 

これについて私は、無理して取り入れる必要はない、と思っています。ベーシックカラーだけでシンプルなコーディネートがきちんと成立するのです。先に書きましたように、統一感や落ち着いた印象が作れれば十分だと考えます。単調やらぼやけたといった印象は、マイナス要素ではありません。一つの特性です。この特性に別の要素である差し色をプラスして、ファッションを楽しむということであり、ファッションに必要不可欠ということではないのです。


差し色はファッションをより楽しむための方法の一つです。自分の着こなしが身についてきたら、次の楽しみ方として差し色のような考え方を取り入れていくのが良いと思います。ただ、いろいろな着こなしを試していく過程で、差し色を自然に使っていたということもあるでしょう。そのときは「こんな効果があるんだな」ぐらいに思って、知識を増やしていけば良いのではないでしょうか。

 

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