平成の時代にあらゆる要素を描き出したメンズファッションは、令和になって全方位に可能性が広がることによって、オシャレなポジションを掴むことがとても容易になりました。
あれほどオシャレって特別な人のものだと、自分には遠い存在だとされていたファッションが、これほど身近になったのはある意味ユニクロのおかげかもしれません。ユニクロだけでなく無印良品やH&M、ZARAといったファストファッションが市民権を得たのも平成の特徴。
服に興味のない人でも、服に興味がないからこそ安く済ませられるユニクロで買うのですが、そのユニクロ自体がシンプルでスッキリとしたデザインなものですから、逆になんとなくサマになってしまうといいますか。さらにそんなユニクロだけでオシャレになるというテーマのブログや本の乱立で、すっかりユニクロのシンプルさがオシャレということになっちゃいましたね。
また平成の30年の中で、90年代ストリートがあり、エディ・スリマンからのタイトブームがあり、モノトーンならオシャレに見えると信じたノームコアがあり、タイトブームから反転してワイドシルエットがあり、ノームコアから反転して派手な色使いが一般的となり、そこにストリートスタイルから90年代回帰スタイルという流れがありと、およそ思いつく限りのファッションスタイルを網羅しちゃいました。
そして令和になった今。90年代ファッションはいまだ健在、ノームコアという言葉は聞かれなくなってもシンプルなモノトーンスタイルは生き続け、オーバーサイズやワイドシルエットがもてはやされる一方でスキニーパンツもしっかりと根付いています。今、これは無いなと言えるのは、タイトなアウターやピチTぐらいなものじゃないかしら。
つまり、特にオシャレになろうと意気込まなくても、どうやったらオシャレになれるかと悩まなくても、売ってるものを着ておけばそれなりな格好になるのだろうと言えますよね。だって令和元年の今、ピチTって売ってないでしょ、タイトなアウターも見ませんね、さらにあえてスリムなサイジングで作ってますといったシャツなども見かけないんですが日本のどこかでは売ってたりするんでしょうか。
さらにオーバーサイズなスタイルが一般的になったことによって、サイズ選びがシビアでなくなったことも大きい。MかLで迷ったらとりあえずLを選んでおけば失敗はないといいますか。でも例えMでもジャストサイズならそれもアリ。いやちょっとぐらいタイトでもやっぱりアリ。結局なんでもアリ。
なぜならオシャレ全方位な令和にマジ感謝。買い物に失敗はつきもの?だけどファッションな買い物で失敗できねー、なぜならオシャレ全方位な可能性、それが令和のメンズファッションだから。
でも何を着てもオシャレってのもちょっとね。なんというかやっぱりこだわりというか自分のスタイルってのを持ちたいよね、と思ったりするでしょうか。
つまり人間引っかかり、フックのようなものが欲しいんですよね。何ら悩むこともなくサラッとファストファッションで買い物して、ハイオシャレ!というのがあまりにもインスタントであまりにも味気なくて。
でもやっぱりこれだけ多様なスタイルが受け入れられる時代では、そんなこだわりも捨てちゃえ捨てちゃえ、ってことですかね。
昨年はラウンジリザードが休止というニュースがあり、今年になってツモリチサトもアパレル事業終了という記事がありました。
ラウンジリザードといえばスタイルを変えずに細身にこだわってきたブランドであり、ファッション初心者からベテランまで大人気だったと思うのですが、そのこだわり故にライトで多様性を求める消費者の好みと離れてしまった部分があったかもしれないですね。
ツモリチサトはレディースブランドで、かなりの知名度で別格な存在だった記憶がありますが、独自の世界観というのは流行らなくなってきたのかも。ツモリチサトだからこその着こなしやファッションならば、あえてしなくてもいいじゃん。それよりブランドに縛られずに楽しめるファッションがこんなにもあるんですもの。
令和のファッションは気軽でライトでこだわりのない、自由なファッション。でもこの場合の自由って、ちょっと違う自由。
こだわりを楽しむ自由はそこにはない。例えば、人が想像性、創造性を発揮してもっと自分のスタイルを磨くといった自由はないんです。
ただ、人にダサいと言われずに済む自由。適当に選んでそれで大丈夫という自由。
価値があるものって大切にしないといけないし、適切な取り扱いをしないといけないから好き勝手に扱えないですよね。
でも価値のないものって、どうせ捨ててもいいし失くしてもいいし、壊れてもいいから、好き勝手に扱えますよね。
その好き勝手にできる自由が、今のファッションに当てはまる自由でいいのか、それとも・・・。
でもまあ、それはそれとして、例え偽りの自由であっても今はファッションいい時代。何きてもオシャレ、こじつけてもいいからオシャレ、そんな令和のファッションにマジ感謝。
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